世界経済が各国インフラにつながるデジタル・システムへの依存を高める中、日本、イタリア、英国、カナダ、ドイツ、フランス、米国、EUの大臣が一堂に会し、情報通信技術(ICT)政策の調整に関するイニシアチブについて話し合う「G7香川・高松情報通信大臣会合」が2016年4月29日~30日に開催されました。本会合では、ICT及びサイバーセキュリティを進めていくにあたり、マルチステークホルダーのアプローチが不可欠である旨が合意されました。

 G7会合の主催国として、日本政府はその合意を実行し、政府関係者のみの大臣会合と並行して、初のG7 ICTマルチステークホルダー会議を開催しました。この会議には、世界中の産業界、アカデミア、政府の代表が集い、重要なICTを防御し、グローバルでサイバーセキュリティ態勢を向上させていくための国際協力の強化について話し合いました。弊社からも本会議に参加しましたが、この機会をとらえて世界中から代表を集めた日本政府のリーダーシップに敬意を表します。

 会議の中では、サイバー脅威インテリジェンス及びベストプラクティスをタイムリーかつ調和のとれた形で共有することの難しさ、またサイバーセキュリティを日本の経営判断及び経営の中に取り入れていくことの難しさが浮き彫りになりました。BT Securityのマーク・ヒューズCEOは、2012年のロンドン五輪での経験を披露し、混乱及び重複を防ぐために情報を調和のとれた形で共有するための技術の活用の重要性について力説しました。また、ヒューズCEOは、今後の五輪が直面する課題として、増大しつつあるサイバー脅威情報をリアルタイムで処理・分析することについて挙げました。

 モノのインターネット(IoT)及び自動化された脅威が増大する中、我々が扱うデータの量も増え、脅威は益々複雑化し、我々の日々のデジタル・ライフスタイルに影響を及ぼしています。官民学が一丸となってシステム及びネットワークを再設計し、従来型のプラットフォームを刷新することで、ビッグデータ処理、脅威の自動阻止及び迅速な対応を可能とする次世代の技術へと革新していくことが必要です。

 しかし、次世代技術のみでは、ICTセキュリティを確保する上で我々が直面している課題に対処する上で十分とは言えません。このパネル討議中、日本電信電話株式会社(NTT)の篠原 弘道代表取締役副社長が強調していたのは、サイバーセキュリティを経営課題と見なし、情報共有及び人材育成のために他社や他のセクターと協力していくことの必要性でした。本指摘は、2015年12月に経済産業省及び独立行政法人 情報処理推進機構が発表した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 1.0」を反映したものです。この文書では、サイバーセキュリティは経営課題であると最初にうたわれており、企業のブランド、事業継続、信頼性を守るために経営者層がリーダーシップを取ってサイバーセキュリティに投資すること及びサイバー脅威情報の共有枠組みに貢献することを求めています。

 日本のグローバル重要インフラ企業であるNTTが、サイバーセキュリティは経営課題であると本国際会議の場において宣言したのは、日本の他の企業のための土台作り及びグローバルの先鞭をつける上で非常に意義深いことです。弊社は、サイバーセキュリティ分野における日本政府及び日本の業界のリーダーシップに感謝すると共に、デジタル時代の経営及び信頼の確保において、是非貢献していきたいと考えております。

≪注記≫
 パロアルトネットワークス株式会社CSO松原実穗子とパロアルトネットワークス本社のグローバル・ポリシー担当本部長のダニエル・クリズは、2016年5月上旬にサイバーセキュリティ経営ガイドラインに関する共著のブログ を発表しました。また、松原は、都内で6月7日に開催されるサイバーセキュリティ国際会議のPalo Alto Networks Dayでは、五輪を含むグローバルの主要なイベントにおけるサイバーセキュリティに関する講演を行う予定です。