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 先日の7月10日に行われた日本の参議院選挙では、自民党と公明党の連立与党が過半数となる121議席を獲得しました(ハフィントンポスト日本版より)。これで連立与党は定数242議席のうち145議席を占めることになりました。今回の結果を受け、これまでの日本のサイバーセキュリティに対する前向きな取り組みが、安定的に継続するものと思われます。

 安倍晋三首相が就任した2012年12月以降、同政権は二国間および多国間のサイバーセキュリティ能力構築の連携、サイバー脅威情報の共有、重要インフラ防護の取り組みの拡大に積極的に取り組んできました。日本政府は2013年5月に米国、2014年10月に欧州連合 (EU)、2014年11月にイスラエル、2014年12月にエストニア、フランス、英国と、2015年3月にロシアとサイバー対話を開催しました。多国間協議としては、2013年9月に日・ASEANサイバーセキュリティ協力に関する閣僚政策会議、2014年5月に日・ASEANサイバー犯罪対策対話が、さらに2014年10月には日中韓のサイバー協議が開催されました(日印サイバー対話は、2012年11月に始まりました)。現在、ICT(情報通信技術)が経済、技術革新、国内および国際安全保障の基盤となっており、健全なICTにはサイバーセキュリティが不可欠であるため、これらの対話により日本と他国間の関係が強化されてきました。

 選挙運動中、ほとんどの議論はアベノミクスと憲法改正の可能性に焦点が当てられ、サイバーセキュリティに関する施策については見過ごされていました (ただし公正を期すために指摘するならば、世界中の多くの選挙においてサイバーセキュリティは主要テーマではありません)。現政権は、サイバーセキュリティ政策、官民連携、国際協力に積極的に取り組んできました。現与党が継続することは、日本がこれまで行ってきたサイバーセキュリティにおける堅実な取り組みの継続も意味します。これは2020年の東京五輪成功に向けて見逃せない要素です。

 2013年9月に東京が2020年の夏季オリンピック開催地として選出されて以降、日本政府は五輪成功のためのサイバーセキュリティ政策の策定および日本のサイバーセキュリティ強化に力を入れてきました。イベントや利害関係者の規模、関係構築と風評管理の難しさという点でオリンピックは際立っており、日本の優先事項として取り組まなければなりません。2014年11月に施行されたサイバーセキュリティ基本法では、国の政策策定、国際協力の窓口としての機能、サイバー脅威情報の収集と分析、重要インフラ防護の官民連携の強化、省庁によるサイバーセキュリティ施策の評価のため、内閣官房に設置された内閣サイバーセキュリティセンター (NISC) に法的な権限が与えられました。

 東京五輪に向けて経済成長を阻害することなくサイバーセキュリティを強化するため、基本法に基づき、サイバーセキュリティ戦略が2015年9月に閣議決定されました。その後今年の5月に自民党の「IT戦略特命委員会」により、人工知能やFinTechを含む最新のIT技術を促進する (業界を規制するのではなく、まず日本がやってみる) ことで社会福祉を実現する方法について日本政府への提言をまとめた「デジタル・ニッポン2016」が発表されました。国民がITサービスの利便性を享受できるようにするには、サイバーセキュリティとIoTセキュリティが重要な役割を果たし、セキュリティに取り組む企業は尊重され高く評価される、と同委員会は考えています。

 2012年ロンドン大会と2016年リオ大会からサイバーセキュリティ上の準備や運営についての教訓を学び、東京五輪にいかすため、日本政府は英国やブラジルに代表団を送ったと報じられています。攻撃予防のためのヒントや脅威インテリジェンスのような機微な情報について議論するには、相互信頼と情報保証が求められます。したがって、オリンピックの経験を共有して関係構築を行うことは、英国、ブラジル、日本の既存の関係の強化に貢献することでしょう。英国は国民投票でEU離脱 (ブレグジット) を選択し、大変な時期にあるため、日本としては今後予想される不安定なグローバル経済と政治的な先行きに注意する必要はあるものの、日英関係において二国間のサイバーセキュリティ連携の重要性がなくなることはありません。

 東京五輪における3つのビジョンには、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「ポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく」ことが掲げられています。今回の選挙により、過去4年間にわたる重要かつ影響力のある活動を日本が継続できるようになりました。セキュリティ業界は、サイバーセキュリティソリューションを革新し、日本におけるサイバーセキュリティを向上させることで、こうした取り組みに貢献していきます。これは最終的には、日本と連携する他の国のサイバーセキュリティにも役立ち、2020年以降に向けたサイバーセキュリティにおける素晴らしい遺産となることでしょう。