AI導入の課題
AIが急速に進化する中、多くの組織がAI特有のリスクとガバナンス戦略の全容を深く理解するのに苦労しています。AI環境を保護するためのベストプラクティスを確実に把握していなければ、刻々と変化する状況の中での正しい意思決定を従業員に頼るほかありません。
この受動的なアプローチをさらに複雑にしているのが、イノベーションを迅速に創出しなければならないという強いプレッシャーです。その結果、セキュリティよりもスピードが優先されることがよくあります。ここで見落とされがちなのが、機密データの保護、AI開発プロセスの保護、および潜在的脆弱性への対処のための重要なステップです。戦略的な枠組みがなければ、組織はAI活用の取組みの中で、回避可能な脅威にさらされます。以下に、その例を示します。
シャドーAIの利用
AIツールを業務に利用する従業員が増えていますが、その多くは正式に承認されていないツールであり、セキュリティ対策もされていません。最近の調査によれば、従業員の50%が無許可のAIツールを使用しており、そのうち46%が、組織で明示的に禁止されたとしても、こうしたツールを使用し続けるつもりとのことです1。その結果、組織はマルウェア、データ漏洩、コンプライアンスのリスクにさらされることになります。
迅速なAI変革
最近の調査の結果、AIを使用していると報告した組織の割合が、2024年には前年の55%から増加して78%に達したことが明らかになりました2 。こうした変化に遅れまいと組織が迅速な動きを取る中で、適切なセキュリティ対策と考慮事項のないまま、AIソリューションが開発されています。
AIのアタックサーフェス
攻撃者によって脆弱なAI統合が標的にされ、AIで生成されたコンテンツに悪意のあるプロンプトが注入されるケースが増えています。AIアプリケーション、モデル、データへの攻撃が急増することによって、悪意のある入力、大規模言語モデル(LLM)の侵害、モデル生成の脅威、および過失によるデータ漏洩のリスクが高まります。
Unit 42 AI Security Assessmentの利点
- AI導入に伴うリスクを削減。従業員によるAIのやり取りの本質を理解することで、使用されているAIアプリケーションを特定・管理し、効果的なリスク管理のための制御を実施します。
- AIイノベーションをセキュリティで保護。データ、モデル、アプリケーション用にカスタマイズされた脅威情報に基づく戦略を用いて、AI活用の取組みを保護します。
- AIガバナンスを強化。将来を見据えたAI戦略とガードレールを活用して、ビジネスの優先順位に沿った強固なAIセキュリティの枠組みを確立できます。
さらに優れたアプローチ: Unit 42 AI Security Assessment
AIの保護には体系化と明確化が必要です。組織がAIの導入を急ピッチで進めるにつれて、イノベーションを支持する形でセキュリティへの取組みを調整する機会が生じます。
Unit 42 AI Security Assessmentのもたらす可視性とセキュリティのベストプラクティスをご活用いただくことで、組織内での責任あるAIの利用と開発を後押しすることが可能です。パロアルトネットワークスのセキュリティ プラットフォームの力によって、エンタープライズ全体でAI関連のリスクを特定し、緩和できるよう、比類のないスピードと規模がもたらされます。弊社は業界トップクラスの脅威インテリジェンスとAIの専門知識を用いたこのテクノロジを土台にして、貴社のAI活用状況に合わせた固有のベストプラクティスを提供します。これにより、AIの導入と、AIを使用したイノベーションに自信を持って取り組むことができます。
安全なAIの導入に向けた強固な土台の構築 |
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従業員によるAI利用の保護 |
従業員が利用しているAIアプリケーションとサービスを特定・制御します。従業員によるAIツールの使用状況を理解することは、確実な第一歩となります。一般に毎日のネットワーク トラフィックはよく理解されていますが、AIの使用状況をさらに掘り下げる必要があります。 |
AI開発およびサプライチェーンの保護 |
貴社独自のAIアプリケーションを構築するときは、セキュアな開発プロセスとアーキテクチャが必須となります。AIシステムは「ブラックボックス」のように動作することが多いため、透明性と説明責任を高めるためにデータおよびモデルの使用状況と系統を追跡することが重要になります。 |
セキュアなAIランタイム |
AIアプリケーション ランタイムを保護するには、LLMプロンプト インジェクションや敵対的入力のような脅威を検出するための監視が必要です。定期的なテストを実施(自動化ツールと、人間主導の脅威モデリングまたはレッド チーム演習を併用)することで、脆弱性を明らかにし、防御を強化します。 |
AI駆動型セキュリティ運用 |
AIでSOCを変革することによって、リアルタイムの見識が得られるようにデータ ソースを一元化し、反復作業を自動化し、インシデント レスポンスを高速化できます。攻撃者はAIを使用するだけでなく、AIによって攻撃を高速化し、効果的なものにしています。したがって、防御側はこれについていく必要があります。 |
Unit 42について
Unit 42® は、世界的に名高い弊社の脅威リサーチャーおよびハンターと、セキュリティ コンサルタントの精鋭チームから編成された、インテリジェンスに基づく迅速なレスポンスを実現する組織です。Unit 42の脅威インテリジェンス チームは、脅威リサーチを提供することで、セキュリティ チームが攻撃者の意図や特性を理解するとともに、パロアルトネットワークスの製品やサービスが提供する保護を強化して高度な攻撃を阻止します。Unit 42は、脅威の状況に応じて、最新のリスクに関する情報、対応状況の評価、最悪の事態が発生した場合の復旧支援を提供できます。最新の脅威インテリジェンスと調査結果の詳細は、 https://unit42.paloaltonetworks.com/をご覧ください。
1 The Shadow AI Surge: Study Finds 50% of Workers Use Unapproved AI Tools, Apri 18, 2025.
2 Artificial Intelligence Index Report 2025: Stanford University Human-Centered Artificial Intelligence, April 7, 2025.