プロキシ サーバとは?
運用サイクルには、以下の複数のステップがあります。
- このプロセスは、WebブラウザにWebサイトのURLを入力すると、デバイスがオンライン コンテンツやWebリソースにアクセスする要求を送信して開始します。
- 要求は、インターネット サービス プロバイダ(ISP)経由でコンテンツをホストするWebサーバに直接転送されるのではなく、まずプロキシ サーバにルーティングされます。
- プロキシ サーバには各自のIPアドレスがあり、要求を目的のWebサーバに送信して、元のユーザーのIPアドレスが見えないようにします。
- 次に、Webサーバは元のIPアドレスを意識せずに要求を処理し、要求されたデータやWebサイトをプロキシ サーバに返します。
- プロキシ サーバは、返されたデータにマルウェアなどの脅威がないかスキャンすることで、要求元のデバイスに転送する前に、重要なセキュリティ機能を実行します。
プロキシには、頻繁にアクセスするWebページをローカル キャッシュに保存する機能があります。このため、インターネットに直接要求せずに、該当のページをすぐに表示でき、高速なデータ検索が行われます。
プロキシは、ネットワーク セキュリティやパフォーマンスに広く使用され、管理機能を円滑にして、ユーザーのプライバシーと匿名によるWebの利用を可能にします。しかし、ユーザーのプライバシーの侵害やトラフィックの妨害など、予想外の意図でプロキシ サーバを使用できます。共有や専用といった利用の種類や、HTTP、SSL、FTP、SOCKSなどの設定オプションは、使用目的やユーザーの好みによって異なります。
プロキシには隠す機能がありますが、完全に見えないわけではありません。プロキシのIPアドレスは、ブラウザや他のプロトコル プログラムの設定で指定する必要があります。そのため、特に暗号化されたトラフィックや匿名サービスを提供するプロキシでは、プロバイダの信頼性が極めて重要になります。
また、IPアドレスを操作して、トラフィックが地理的に別の場所から発信されているように見せるプロキシもあります。攻撃者はこの機能を悪用して、地域の制限をすり抜けたり、オンライン上のプライバシーを強化したりする可能性があります。
プロキシ サーバのメリット
セキュリティの向上: プロキシにより、インターネット接続のセキュリティが大幅に向上します。ユーザー システムとインターネットを仲介して、ファイアウォールのように効果的に機能します。このため、システムへの侵入を図るハッカーからユーザーのIPアドレスを保護できます。また、暗号化により安全に接続するHTTPSプロキシや、悪意のある電子メールをブロックするSMTPプロキシなど、セキュリティ対策が強化されているプロキシもあります。さらに、リバース プロキシでは、不審な要求や繰り返される要求をブロックし、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃や中間者(MitM)攻撃などのサイバー攻撃や脅威を緩和します。
インターネットの匿名性: プロキシを利用することで、匿名でインターネットを閲覧できます。この匿名性は、ユーザーのIPアドレスを隠すことで行われます。プライベートなブラウジング体験が可能になり、不要な広告やデータ収集からユーザーを保護します。さらに、企業の競争上の優位性の維持に不可欠な機密データの盗難を防止します。
地理的位置の柔軟性: プロキシにより、地域固有のコンテンツ、つまり特定の情報やサービスが地域で制限されている場合の重要な資産にアクセスできます。ユーザーは、プロキシ サーバを設定して他国に関連するIPアドレスを使用できるため、Webサイトを「騙して」、ユーザーがその場所から閲覧していると思わせることができます。このように、制限されているコンテンツにアクセスできるため、位置情報を使用してインターネットベースのマーケティング活動を行う場合に特に役立ちます。
コンテンツのフィルタリングと制御: プロキシを組織で使用する場合、インターネットの利用をある程度制御できます。管理者は、不適切なWebサイトや怪しいWebサイト、組織のポリシーに反する可能性のあるWebサイトへのアクセスをブロック可能です。透過プロキシでユーザーの行動を記録できるため、企業では従業員による職場でのインターネットの利用を監視できます。このような管理によって生産性を維持し、リソースの不正使用を防止できます。
データの高速化と帯域幅の節約: プロキシでは、頻繁にアクセスするWebサイトをキャッシュして、インターネットを高速化し、帯域幅を節約できます。プロキシ サーバは、頻繁に要求されるデータのコピーを保存することで、元のサーバからデータを再取得せずに、以降の要求にすばやく対応できます。そのため、ユーザーのデータ検索速度が上がり、帯域幅の使用量が削減されます。
検閲やコンテンツの規制を回避: プロキシにより、インターネット検閲や、アクセスがブロックされるリソースを回避できます。特に、インターネットの利用が厳しく規制されている地域や、特定の国でのみ利用可能なサービスがある場合に有効です。
コスト効率: 多くのプロキシ、特にWebプロキシは自由に利用できます。そのパフォーマンスとセキュリティは、有料の代替手段ほど堅牢ではありませんが、前述のメリットを活用する小規模企業にとっては、費用対効果の高いソリューションとなります。
プロキシ サーバの短所
プロキシ サーバは、特定の状況では便利ですが、インターネットのセキュリティとパフォーマンスの戦略を立てる場合に把握しておくべき重大な欠点もあります。
短所として、セキュリティが限られる点があります。一般的にプロキシには暗号化機能がないため、プロキシ経由のデータは傍受されやすくなります。このリスク要因があるため、ログイン認証情報や専有情報など、業務の機密データが漏洩する可能性が高くなります。
データ ロギングの問題もあります。プロキシは、Web要求データと一緒にIPアドレスをキャプチャして保存しますが、そのデータの一部は暗号化されません。サーバの管理によっては、このログ データが外部に売られる可能性もあるため、企業のデータ プライバシーが脅かされ、データ侵害につながることもあります。
また、プロキシ サーバは一般的に開放ポートで動作するため、セキュリティの脆弱性が原因で、攻撃者が悪用できる潜在的な攻撃ベクトルが増加します。この運用モデルでは、企業に対するサイバー脅威全体が拡大します。
さらに、プロキシが提供するプライバシーには制限があります。IPアドレスを匿名にすることは可能ですが、多くの場合、その保護対策はWeb要求の範囲には及びません。安全ではないネットワーク上で多数の無料プロキシが機能し、広告ベースの収益モデルを使用する場合、ウイルスやマルウェアを含む広告が企業ネットワークに侵入する可能性があり、重大な懸念事項になります。
パフォーマンスに一貫性がない点もあります。特に無料プロキシは、速度やパフォーマンスを損なわずに多数の同時ユーザーに対応できる帯域幅がないため、業務に大きな影響を与える可能性があります。
最後に、プロキシ サーバは一般的にアプリごとに機能するため、機能が制限されます。この設定では、アプリケーションごとに個別のプロキシ設定が必要となり、ネットワーク全体を保護できるVPNなどの包括的な代替手段とは対照的です。
プロキシ サーバの種類
1.フォワード プロキシ
クライアントに代わって、Webサーバにクライアントの要求を送信します。主に、制限を回避してユーザーのプライバシーを強化する場合に使用されます。
2.リバース プロキシ
サーバに代わって、クライアントからサーバへの要求を管理します。負荷分散、間接的なサーバ アクセス、コンテンツのストリーミングによく使用されます。
3.透過プロキシ
通常は企業ネットワーク設定でネットワーク トラフィックを集中管理し、ネットワーク トラフィックを監視して制御します。ユーザーは匿名化されません。
4.匿名プロキシ
匿名プロキシ サーバはクライアントのIPアドレスを隠して、プライバシーを強化し、ブロックされたコンテンツにアクセスします。ただし、検出可能な場合もあります。
5.SOCKSプロキシ
プロキシとVPN(仮想プライベート ネットワーク)はどちらも、ユーザーのデバイスとインターネット間の通信を仲介しますが、その運用方法は異なり、プライバシーとセキュリティのレベルも異なります。
プロキシ サーバはゲートウェイとして機能し、インターネット トラフィックを別ルートで送り、IPアドレスを変更してユーザーの位置や接続情報を隠します。暗号化はデータを安全に送信する重要な機能ですが、一般的なセットアップにはありません。つまり、プロキシはユーザーの位置を隠しますが、送受信される情報の傍受や詮索を受けやすくなります。さらに、多くの場合、アプリケーション レベルで個別に設定されるため、プロキシを使用するアプリケーションごとに特定の設定が必要となります。
一方、VPNはユーザーのデバイスとVPNサーバの間に暗号化されたトンネルを作り、そのトンネルをすべてのネットワーク トラフィックが通過します。このシステムレベルのセットアップにより、アプリケーションを問わず、データは100%暗号化されます。暗号化機能により、VPNがさらに強化され、ユーザーのデータは侵入や傍受から保護されます。VPNはプロキシとは異なり、ユーザーの位置と通信内容の両方を隠すため、プライバシーが包括的に保護されます。
また、VPNとプロキシではパフォーマンスと使用例も異なります。プロキシ サーバは、キャッシュを使用してインターネット アクセスを高速化できますが、VPNにこの機能はありません。個人ユーザーで機密性が低いデータを使用し、インターネットの速度が気になる場合は、プロキシで十分対応できます。ただし、データ侵害により大きな損失が生じる可能性のある業務では、包括的なデータ暗号化機能を持つVPNが一般的に望ましい選択となります。
プロキシ サーバとセキュアWebゲートウェイ(SWG)
セキュアWebゲートウェイ(SWG)導入の一環としてプロキシを使用する場合も多くあります。SWGは、HTTPやHTTPS Webプロトコルのセキュリティ検査と、Webフィルタリングおよびマルウェア防御を実施します。ユーザー デバイスにエージェントを導入せずにプロキシを使用することもできます。ただし、プロキシはWebベースのトラフィックしか検査できないため、通常は包括的なセキュリティ プラットフォーム戦略の一環として使用するか、安全なリモート アクセス方法に段階的な移行を検討している場合に使用されます。IPsecやGREトンネリング、ファイアウォールのポート転送などのオンボーディング手法もあります。
プロキシ サーバとSASE
デバイスのすべてのトラフィックとプロトコルのセキュリティ検査を行うのが理想ですが、セキュア アクセス サービス エッジ(SASE)アプローチの一環としてプロキシを組み込むことで、アーキテクチャの柔軟性とセキュリティのバランスを取ることができます。SASEソリューションは、必要なネットワーキングとセキュリティの機能を、単一のクラウド提供型サービスで実行します。